2016/09/11

『アール・ヌーヴォーの装飾磁器』展 三井記念美術館


 
 
 アール・ヌーヴォーの、ガラス器であればいくらでもあったが、磁器に着目した展示というのはほとんど聞いたことがなかったかもしれない。それだけでなく、企画者によると今回はあえて、これまでほとんど日本の展覧会では扱われてこなかった、マイセンやロイヤルコペンハーゲンをはじめとする名窯に着目したそう。メーカーの組織力によって、化学者たちの協力を得ながら技法が確立されていった。展示はおよそブランドごとに行われ、その簡単な紹介も付されている。装飾芸術のうちではとりわけ作家性が薄く、工芸のなかでも芸術か実用品か判断の難しいところだと思う。しかしそれぞれが互いに競い合っていたためだろう、技巧を凝らされ美しく洗練された作品たちはずっと眺め続けていることができる。こうしたメーカーが登場し活躍したのは1900年代に入ってからなのか、展覧会タイトルにはアール・ヌーヴォーとあるけれども、出品されているのはほとんど20世紀以降の作品。
 テーマ設定も含め、全体として新しく興味深い点が多い展示だった。
 
 
アール・ヌーヴォーは、欧米で19世紀末から20世紀初頭にかけて全盛を極めた工芸や建築、グラフィック・アートなどの多岐にわたる装飾様式で、流れるような曲線によって構成されていることを特徴とします。

こうした流行は、同時代における陶磁器のデザインにも顕著に現れることとなり、美しく優雅な作品や東洋陶磁に倣った作品が次々と誕生していきます。これは、透明釉の下に多色の模様を施すような釉下彩をはじめとする新しい技術や技法の開発があって、初めて可能になったものといえます。

本展覧会では、アール・ヌーヴォー様式によるヨーロッパ名窯の作品の数々を、国内において総合的に紹介する初の展覧会です。

1889年と1900年のパリ万国博覧会を軸に、釉下彩を伴ったセーヴルやロイヤル・コペンハーゲン、マイセンなどの作品を中心としながら、上絵付や結晶釉などの加飾による作品をまじえ幅広く展示します。さらに、日本との結びつきを示す作品、および関連するリトグラフや素描、書籍を併せた約200点によって多彩な様相を紹介していきます。 
https://www.artagenda.jp/exhibition/detail/437 [2016/09/11]

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