2016/09/11

『声ノマ 全身詩人、吉増剛造展』東京国立近代美術館



 国立近代美術館の企画展、詩人・吉増剛造(1939-)の展覧会。
展示は1.日記 2.写真 3.銅板 4.声ノート 5.原稿・メモ 6.映像 7.怪物君 8.飴屋法水による空間 9.シアタースペース という9つのエリアに分けて構成される。

 私は訪れる前に作品を一篇も読んだことがなかったから、展示で初めてこの詩人を知り、向かい合うことになる。だからあくまで展示としてどうであったかということしか判断ができないけれど、何も知らない人間も(だからこそ?)面白く鑑賞して回ることができた。9つのブースのすべてがそれぞれ記憶に残り、思い出せる。特に印象深かったのは22歳から現在までずっと付け続けているという日記と、自筆原稿。作家の字は御多分に漏れず非常に読みづらいが、文字の配置を工夫したり色とりどりのペンが使われていたりと、それ自体が作品かのよう。写真作品は多重露光を利用したものでこれも美しく、「声ノート」は詩人自身の朗読の声に加えて、他人の詩の朗読、日常的に聴いていたのだろうJazzやClassicの音楽、いくつかの講演会の記録音源等も含まれている。
 白くふわりとしたカーテンでゆるく仕切られた会場を歩きながら、展示空間の全体から、「声」が感覚へと浸透して来るのがわかった。


本展は日本を代表する詩人、吉増剛造(1939 ‒)の約50 年におよぶ止まらぬ創作活動を美術館で紹介する意欲的な試みです。

東日本大震災以降書き続けられている〈怪物君〉と題されたドローイングのような自筆原稿数百枚のほか、映像、写真、オブジェ、録音した自らの声など様々な作品や資料を一挙公開します。

大友良英(音楽家)とのコラボレーションによるパフォーマンス、ジョナス・メカス(映画監督)作品上映など、イベントも多く開催する本展は、「詩人」の枠を飛び越えた、吉増ならではの多様性あふれる形態で、聴覚・触覚をも刺激する、体感する展覧会です。「言葉」の持つ力、豊かさを体験してください。

…… 「声ノマ」とは          
詩人である吉増は、しばしば漢字をカタカナ(音)に置き換えることで、言葉(声)が本来もっていた多義性を回復させます。展覧会タイトルとなっている「声ノマ」の「マ」には、魔、間、真、目、待、蒔、磨、交、舞、摩、増など様々な意味が込められています。

 …… 声や音を空間にあふれさせる        
会場に入ると、壁をなるべく立てず、布でゆるく仕切った7つの部屋が広がり、声や音が空間にあふれていきます。そしてその奥には、飴屋法水による空間と、パフォーマンスや映像をみせるシアタースペース。計9つのタイプの異なる空間から展覧会は構成されます。 
http://www.momat.go.jp/archives/am/exhibition/yoshimasu-gozo/index.htm#section1-2[2016/09/11]

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