2016/11/19

菅実花さん個展『The Future Mother 未来の母』








【Exhibition】
《The Future Mother 未来の母》
ラブドールは胎児の夢を見るか?シリーズより
2016.10.25(tue)-29(sat)

【Talk Event】
"The Future Mother ―妊娠するラブドールを考える"
対談 菅実花×小谷真理
2016.10.27(the)18:30-19:30(18:15開場)

慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎1F



 様々なご縁が繋がって実現した展示。初めてこの作品を見てうんうん唸っていた時に、この展示が自分の母校で実現することになるとは夢にも思っていなかった。

 日吉の教員棟である来往舎、壁や仕切りなどもなく入った途端にあらわれるので、前を通る教員や学生には必ず目に入る。ガラス張りの壁が作品にとって吉と出るか凶と出るか、といったところであったそうだが、微笑みを湛えて自身の裸体を誇らしげに披露する姿には、私自身は素直に、神々しく本当に女神か聖母であるかのような印象を受けた。バックにアカペラサークルの学生たちの歌声が流れているのは、この会場らしいBGMということで…。

  この作品について大学の授業で簡単な発表をすることになり、そのときに使用したレジュメのトピックのメモ。発表時には、この作品が実物の人形ではなくあくまでも「写真作品」であるということの意義を捉えきることが出来ていなかったように思う。ラブドールによる「セルフィー」であることについてもう少し考えてみたい。

 ○未来の生殖の在り方への想像力の喚起
○ラブドールについて
○「独身者機械」的観点から
○マタニティー・ヌード・フォトについて
○妊婦の人形について
○ジェンダー的な位置付けという観点から
○「怪物monstre」 の観点から――妊娠したラブドールは怪物か?
 - 人形の怪物性/妊婦の怪物性/「人造美女」の怪物性…?


 女性を、仮に「生む↔生まない」、「セックスする↔セックス」の対立を軸にとって四象限で表わすということをしたときに、そこにあらわれる少女・娼婦・母・聖母のうち、これまで少女と娼婦にしか関心をもつことができなかった私にとって、今回の作品に正面から向き合って考えることは半ば苦行に近いものがあった。でもこの先、そちら側をずっと無視し続けることはできなかったわけだし、色々と考えることにもつながったので良い機会だったと思います。

Introduction 
美術家、菅実花氏の作品「《The Future Mother 未来の母》ラブドールは胎児の夢を見るか?シリーズより」は、いわゆるマタニティー・ヌード・フォトです。しかし妊娠しているのはなんとラブドール! 強烈な印象を残すこの作品は2016年1月に発表されるや、インターネットを中心に大きな反響を呼びました。インタヴュー記事の閲覧数は実に1000万回を越えたといいます。人形は人形であるがゆえに妊娠しないはず、男性用の愛玩人形であればなおさらです。彼女たちの美しい姿はなにを表わしているのでしょう? 誇らしげなその笑みの裏にはなにがあるのでしょうか? 作品は、テクノロジーの進歩が出産と性のあり方に大きな揺さぶりをかけている現代、そこに生きる私たちに多くの問いを投げかけてきます。

本企画では1月以来初の「The Future Mother」展覧会を日吉キャンパスでおこなうとともに、作者の菅氏、そして作品の鍵でもある〈サイボーグ・フェミニズム〉理論の日本への紹介者、小谷真理氏をお迎えし、作品について存分に語っていただきます。みなさんも一緒に、妊娠したラブドールについて考えてみませんか?
 
慶應義塾大学 新島進(コーディネーター)
「自由研究セミナー 独身者機械を考える」担当

http://thefuturemother.tumblr.com/ [2016/11/19アクセス]
 

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