2016/11/19

『From Life―写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展』三菱一号館美術館





 
 
 







 
 
 
 ああとっても19世紀~、な、三菱一号館美術館らしい企画展。19世紀の女性写真家・マーガレット・キャメロン。
 
 ポートレートが中心であるが、身近な人をモデルに、聖書や歴史、寓話に登場する人物に見立てて撮影された写真には、写真でこういう表現があったのかと少し驚いた。ルネサンス期絵画を思わせるような肖像や聖母群などの宗教的主題を扱うことには、当時から賛否両論があったようである。
 クラックや指紋など、当初は技能の未熟さであると捉えられていたものがかえって写真の味を出すものとして捉えられてからは、次第に意図的に焦点をずらしたり、ネガに傷を付けることであえてボケたような、絵画的効果を狙った写真が作られるようになる。
 
 女性の写真家、ということだけれども、個人写真にしても集合写真にしても、多く展示されていたのは女性モデルのものがほとんどであるし、女性同士の親密さを表現した作品が目立つ。それから聖母子像風の作品も。彼女が、自身が「女性」の写真家であることを強く意識した写真家だったということが見て取れる。
 
 
 キャメロンはもちろんよかったけれど、ミュージアムショップの、エマーソン、スティーグリッツ、サリー・マンの写真集に魅入られた…。



1863年末に初めてカメラを手にしたジュリア・マーガレット・キャメロン(1815-79)は、記録媒体にすぎなかった写真を、芸術の次元にまで引き上げようと試みた、写真史上重要な人物です。インドのカルカッタに生まれ、英国の上層中流階級で社交生活を謳歌していた彼女は、48歳にして独学で写真術を身につけ、精力的に制作活動を展開します。そして、生気あふれる人物表現や巨匠画家に倣った構図を追求するなかで辿りついたのは、意図的に焦点をぼかし、ネガに傷をつけ、手作業の痕跡をあえて残す、といった革新的な手法でした。 
本展は、キャメロンの生誕200年を記念し、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が企画した世界6カ国を回る国際巡回展であり、日本初の回顧展です。キャメロン絶頂期の極めて貴重な限定オリジナルプリント(ヴィンテージプリント)をはじめ、約150点の写真作品や書簡などの関連資料を通じて、キャメロンの制作意図を鮮やかに際立たせつつ、彼女が切り拓いた新たな芸術表現の地平を展覧します。http://mimt.jp/cameron/midokoro.html [2016/09/11]

0 件のコメント:

コメントを投稿