2015/05/12

『ルーヴル美術館』展 国立新美術館、『ピクトリアリズム―近代写真の夜明け』展 フジフィルムスクエア

■『ルーヴル美術館展』 国立新美術館




 国立新美術館のルーヴル美術館展。ある程度覚悟はしていたが、平日だというのにかなりの人の数。大盛況というマグリット展も同時に開かれているし、いったいどれだけ集客するつもりなのか…。

 これはサブタイトルが「日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」というもので、選ばれた作品は主に16~19世紀の民衆を描いた風俗画が中心。「ルーヴル」と言う語感が漂わせる壮大さに反して(?)比較的おとなしめの展示である。
 しかし正直なところものすごく楽しみにしている企画展のひとつだったというわけではなかったにもかかわらず、かなり興味深い発見はいろいろとあったし気に入った作品にも出会うことができて、なかなかに満足度が高かった。風俗画にはどうしても地味という印象がまとわりついている気がするけれど、じっと見つめていると徐々に味が出てくるのが分かる。なかなかの曲者である。

 私自身がルーヴル美術館を訪れたときにはもっぱらダヴィンチやらロマン主義やら印象派やらのいわゆる定番どころというべき有名作品を点々と駆け足でめぐっていたので、こうした穏やかな、落ち着いた作品群に意識的に目にとめることはほとんどしなかったことが悔やまれる。とはいえ毎日通うような時間はなかった。ルーヴル美術館、すべてを満足に見て回るためにはいったいどれだけの時間が必要になるのだろう…。



■『ピクトリアリズム―近代写真の夜明け』フジフィルムスクエア




 それから、ミッドタウンにあるフジフィルムスクエアというFUJIFILMが運営している 企画展の、「ピクトリアリズム―近代写真の夜明け」という展示にも足を伸ばしてみた。
 ピクトリアリズム(絵画主義)とは1800年代末期に一世を風靡した写真の潮流です。当時、写真はその記録性のみが注目されており、その「画(え)」は芸術作品としての認識や評価はなされておりませんでした。そんななか写真を芸術と認知させるべく、絵画的な写真を目指す動きが広がりました。ヨーロッパに端を発したこの活動はやがてアメリカへ展開し、ニューヨークではアルフレッド・スティーグリッツらが「フォト・セセッション」(写真分離派)を作り活動しました。 
この写真展では、スティーグリッツをはじめとするピクトリアリズムの写真家たちの作品を展示して、近代写真の夜明けから絵画の模倣に決別を告げるまで、ひたすらに美を追い求めた写真家たちの思いを感じていただける写真展です。
(フジフィルムスクエアHP 企画展ページよりhttp://fujifilmsquare.jp/detail/15020304.html)

 写真史はほとんど未勉強で、だからこうした運動があったことさえ知らなかった。19世紀末愛好家を目指す身としては、知らなかったなんて許せないでしょう……、ということでこちらはその存在を知れただけでもかなりの大きな収穫。写真家はその名前を聞き覚えのある人はいなかったけれど、作品をちらとみただけでもう途方無き19世紀末の芳香が噎せ返るように……というしあわせに浸る。

 ここの写真歴史博物館にはカメラ・オブスクラやゾートロープといった歴史的な視覚装置のレプリカが置かれていて、実際に覗いて体験することができる。入館料も無料。オススメ施設です。

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