2016/07/07

「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」国立新美術館


 


 ルノワール。前回、国立新美術館で開催された展覧会が2010年(「ルノワール―伝統と革新」)で、当時私は高校生だったが、展示を訪れたことは今でもやけに濃く記憶に残っている。そのときはまだ絵画にも全く詳しくはなかったし、ルノワールはとっつきやすい対象だったのかと思う。
 今はといえば、正直なところこの画家にはそれほど心惹かれるわけではない。6年前から嗜好が変わったというのではなく、他の色々な画家を知ってしまったために、相対的に興味が薄れたのだろう。

 今回の展示はオルセーとオランジュリーの所蔵する作品がほとんどで、今回の注目作品はポスターにも使われている《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》。


 思いがけず猫の登場する二点が気に入った。

 ひとつは会場入ってすぐ、最初に展示された《猫と少年》という作品。1868年とかなり初期のものであるそうだが、画面全体が寒色で覆われていてこちらを振り返る青白い肌の裸体の少年にはどきっとするような妖しさがある。ルノワールがもしこの路線をそのまま進んでいたならもう少し、彼を好きになっていたかもしれないなどと思う。

 もうひとつが、有名な作品なのかもしれないけれど《ジュリー・マネ》。ベルト・モリゾとウジェーヌ・マネ(エドゥアール・マネの弟)の娘がこれも猫を抱いて笑みを湛えている。それが画家の他の少女たちの健全で屈託のない表情とは違ってこの子だけ何かワケありっぽくて…とみえるのは私の心が歪んでいるから、たぶん。




 それ以外の作品の中にはパリに行ったときにオルセーで見たわと思い出すのもいくつか。


 「別にこれ、パリに行けば見れるし」みたいなこと、言ってみたい。

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