2016/03/20

「ファッション史の愉しみ―石山彰ブック・コレクションより―」世田谷美術館

 
 
 「ファッション史の愉しみ」展。神戸ファッション美術館からの巡回。服飾史研究の大家である石山彰のコレクションをもとに企画・構成されており、展示品は雑誌や書物、「ファッション・プレート」と呼ばれる版画が中心であるのに加えて、神戸ファッション美術館所蔵のマネキンが着た再現衣装も多数。展示数が多く、ひとつひとつをじっくり見て回ろうとすれば相当な時間がかかるけれども、18世紀の宮廷文化から革命を経て19世紀、解放の20世紀…と、主に西欧の都市におけるファッションの変遷を概観できる。(ファッションにおける19世紀の人々の「18世紀趣味」も、当時の雑誌を細かく調べていくことで色々と出てきそう。)また、当時における「エチケット」や「流行」、「趣味」といった概念がいかなるものであったかも、大まかに掴むことができる。後半には、日本における受容の章、「ファッション史」研究の歴史に焦点を当てた章も。ファッション史の勉強になるのはもちろんのこと、色彩豊かで繊細優美な華々しいイラストや衣装の数々は、それらをただ眺めて歩くだけでも心が躍る。
 
 今回の展覧会においては、その展示品がほとんどフランス、そしてほぼすべてが大人の女性のファッションにかかわるものであったというのは、そもそも個人のコレクションであるという点からしても、一度の展覧会としてのまとまりやおさまりのよさという点にしても仕方がないのだとは思うけれども、他のヨーロッパ諸国や男性ファッションの歴史も同時に知ることができたらよかったかもしれない。
 
 図録と読本。


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