2015/02/22

泉鏡花×山本タカト「草迷宮」展 紀伊国屋書店新宿本店

 泉鏡花記念館開館15周年記念特別展として開催された、泉鏡花×山本タカトの『草迷宮』展が東京に巡回してきており、新宿に出かけた際にちょうど会期中で、運よく訪れることができた。



 山本タカトさんの作品に初めて出逢ったのは確か「夜想」のヴァンパイア特集においてだったと記憶している。それを手に入れた当時もエログロ系は大好物だったはずなのだけれど、裸体の女性や男女の交わりはなかなか直視することができず、見てしまったことに戸惑いとうしろめたさを覚えたのは良い思い出である。(特に丸尾末広の絵は本格的にエグカッタ……。)タカトさんの作品は下品さには程遠く、いかにもな耽美で、繊細な作風に心惹かれた。けれど描写が細かいだけにやはりどうしても生々しく感じられて、その強い印象ばかりが脳に焼き付いていた。
 歳を重ねるごとに哀しい哉(?)、エロもグロも強がらずとも平気で凝視できるようになってしまってからも、以降もあちこちで作品を見る機会があり、現代風の日本人や西洋風のゴシック調の作品については何度か見たことがあった。今回の『草迷宮』の出版を聞いたときにはとても驚いたのだけれども、実際にページを捲ると、タカトさんの作風が、鏡花のような幽玄の世界にもこれほどまでにマッチするということには、思わず溜息をつくこととなった。美女や青年のみならず、老人たちまでもがなんとも生き生きとしていること…。

 しかし金沢にある泉鏡花記念館には近いうちにぜひとも足をのばしてみたいものである。3月のリニューアルオープン後には、「龍の国から吹く風 ―澁澤龍彦展」展が開かれるという…。ポスターも非常に美しく洗練されている。
 北陸新幹線が開通したことであるし、春休み中に行けないだろうか……。うーん。

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