古今東西から、「シンプルなかたち」であると判断されたらしいものが約130点。展示はこれらが「形而上学的風景」「孤高の庵」「宇宙と月」「力学的なかたち」「幾何学的なかたち」「自然のかたち」「生成のかたち」「動物と人間」「かたちの謎」という9つのセクションに分類され、構成されている。
「シンプルなかたち」という言葉でくくられるものの内実は、その名に反して複雑だと思う。19世紀から20世紀にかけて再認識されたという単純さの美を、石器や自然、工芸、仏像、現代のインスタレーション作品などあらゆる視点から照射して捉えなおす試み。めざしていることはとてもよく分かるのだが、この単純に「シンプル」というものの系譜を辿ることは容易なことではないだろう。実際、今回の作品群も一応テーマに沿って選択されてはいるものの、そのテーマ設定の根拠が無批判に呑み込めるものであったというわけではないのと、どのようなコンセプトで集めたのかがあまりにも漠然としており、すっきりとまとまっているという印象は薄かったように感じられてしまった。
とはいえ、それは全部観賞し終えてからあらためて展覧会全体を振り返ってみたときにぼんやりと感じたことであって、作品のひとつひとつは観に行く価値のあるものばかりだと思う。現代アートには疎く、過剰装飾礼讃者の私にとってはどれもこれも語る言葉が乏しい代わりに新鮮で純粋な驚きを持ってみることができ、いずれについても眼も心も吸い寄せられていた。
「シンプルなかたち」というものがコンセプトとして興味深いし、重要なのはここに古今東西から作品たちがある一定の基準に則って厳選されて集められてきたということである。今後「シンプルなかたち」というものを考えてゆく上での大きな指針になり得ることは間違いない。
あとは、何よりシンプルでありながら上品な優美さを湛え、洗練されているこの展示が、この美術館の雰囲気に絶妙にマッチしている。パンフレットやポスターは、白地に金色の文字。カッコいい。ああ、六本木だ…今後の展示にも期待!
どう見ても右側のポスターの方が目立つけど、行ったのは←の方の展示です。
NARUTOも行きたいのだけど…。
オラファー・エリアソン《丸い虹》2005年
美しい!
大巻伸嗣《リミナル・エアー スペース―タイム》2015年
下から空気を入れてふわふわとヴェールを浮かせるというもの。見入ってしまう。
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