2014/11/10

『チューリヒ美術館』展 @国立新美術館

国立新美術館で開催された『チューリヒ美術館』展。

開催が告知されてから、HPやポスターのイメージが斬新で目立っていた。太字のポップなフォントで画家の名前が連ねられているのは少し分かりやすすぎはしないかと思ったが、不思議とどこか惹きつけられるデザイン。

平日木曜の朝、授業の休講を利用して開館と同時に訪れたが、その時点で既にかなり多くの人。前の週に行ったウフィツィ美術館ではご高齢の方々が中心だったのに対してこちらの年齢層は幅広かった。

印象主義から象徴主義、シュルレアリスムに至るまで画家や様式別に空間が区切られ、およそ時系列順に並べられている。このように比較的コンパクトな会場で現物の作品の特徴を見比べることができる機会はなかなかない。学芸員の方が教科書的な効果を意図していたのかどうかはわからないが、非常に分かりやすく美術史初心者にとってはとても勉強になる有難い展示だった。


私が真面目に美術館を訪れるようになったのはここ最近のことであり、初めて直接目にした画家の作品も数多くある。

シャガールにさえ、私がそれと認識して対面したのはもしかすると初めてかもしれない。人気投票で上位にランクインするだけあり、そしてポスターでひときわ大きく名前が書かれるだけあり、展示の空間にオーラが漂っている……ように思えたのは気のせいだろうか?
特に彼の《婚礼の光》―、愛する妻を亡くした苦難を乗り越え描いたと言われるこの作品においては、彼の激情の移り変わりが直に伝わってくる。
分かりやすいけれど深みがあって一筋縄ではいかないようにも見えるこの作品は、おそらく今回の全展示作品の中においてもかなり人気が高い一作に入るのだろう。

そしてやはり私にとっては心落ち着くムンク。《冬の夜》は一目見るだけで凍てつくような鬱々とした気分になるような作品で、そのためか長く立ち止まり見つめる人は少ないようだった。そもそも日本人においてはムンクはどの程度人気があるのだろう。(日本海側の雪降り積もる冬の断崖絶壁の様相も、彼の雪まみれの寒々しい森の絵にはなかなか負けてないものがあると思うのだが。)
何にせよただでさえ冷え込み厳しくなるこれからの時季においてこそ、彼の作品は究極的な孤独と絶望とに思う存分浸らせてくれる貴重な存在となり得る気がする…。見ることができて良かった。


購入したポストカードはムンク、マックス・エルンストと、シャガールとをぜんぶで4枚、
気が付いたら手に取っていたのはすべて寒色系だったのはどういうわけか。

さて、良い経験でした。
引き続き西洋美術史の基礎知識習得に精進しなくてはなりませぬ。




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