2016/10/02

「Radical Democracy」ASAKUSA

 サンチャゴ・シエラとトーマス・ヒルシュホーン。クレア・ビショップの「敵対と関係性の美学」で扱われていた二作家の作品、書籍の紹介やインタビュー映像等。ギャラリー自体が古民家を改装したという面白いところで、入る時にも本当にここで合ってるかしら…?と少し不安になってしまった。

 展示は小規模ながらインパクトの強いものだった。印象に残っているのはシエラの作品“133 Persons Who Dyed Their Hair ”(2001)、流れ作業式に雇われたひとたちの髪を脱色していく作業を記録した映像。強制収容所を連想してしまう。作業は淡々と進められ、和やかとはいわないが殺伐としているわけでもなく、美容師たちも脱色を受けている人たちも笑みを浮かべたりもしているのに、どこか異様な光景で薄ら寒さを覚えた。頭髪とはいえ、身体に加工、変工を加えるというのはやはりある種の暴力的な行為といえるのだろうか。色を抜いているわけだから、そのあたりにも何かしらの含みを感じる。いずれにせよ染髪が100人以上の規模で行われている図は見ていて気持ちの良いものではない……、ということを実際に感じることができたのは、展示に出向いた大きな収穫だったと思う。

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